機会

陥りやすい評価失敗例

面接はほとんどの場合、やりなおしができません。だからこそ、事前の準備が重要です。特に初めて面接官を担当する人や、そのような人に面接を依頼する人事採用担当者は、事前準備を怠らないようにしましょう。さらに、面接官の経験が長い人も、定期的に自己を振り返り、適切かどうかチェックすることをお勧めします。「面接」という業務は成否がわかりづらく、往々にして「面接官」として「評価(フィードバック)」される機会もほとんどありません。面接の成否が採用の成否につながるということを十分に自覚して準備をしましょう。

ここでは、面接誤差とよばれる「面接官が陥りやすい評価失敗例」を挙げていきますが、面接精度の向上にはトレーニングが不可欠です。トレーニングによって面接官の誤差範囲が改善されたという研究もあります。「敵(応募者)を知り、己を知れば百戦危うからず」。面接では応募者ばかりに気を取られずに、面接官である自分自身の評価も忘れないようにしましょう。

1.ハロー効果
2.対比誤差
3.寛大化傾向と厳格化傾向
4.中心化傾向
5.論理誤差


1.ハロー効果

ある顕著な特性の評価が全体の評価に影響すること

「ハロー」とは、後光(仏像などの背後にある光)をさします。たとえば、「積極性の高い人は他の項目もよいはずだ」や、「協調性が低い人は他の項目も低いはずだ」と評価してしまうことです。評価項目の一部だけの評価であるにもかかわらず、ある特徴的な(プラスでもマイナスでも)特性の評価によって全体の評価を決めてしまう、新米面接官によく見られる傾向です。この評価誤差を防ぐには、(1)評価の尺度を行動基準にする、(2)面接官トレーニングを行う、ということが対策として考えられます。

 

2.対比誤差

評価の基準として面接官自身を設定してしまうこと

面接官自身の主観的基準で評価をしてしまうことで、面接官自身が得意とする分野では厳しく、面接官が不得意な分野では甘く評価が出やすくなります。たとえば「(高校時代に甲子園に行ったことがある面接官が)野球部で都道府県大会レベルの実績ならたいしたことはない」と評価してしまうことです。この評価誤差が起こる原因は、(1)面接官が評価基準を理解していない、(2)面接官が客観的な指標で評価することができない、という2点が考えられます。対比誤差を防止するためには、同じ面接段階を担当する面接官同士で事前に評価基準を共有し、互いにフィードバックしあうことが重要でしょう。

 

3.寛大化傾向と厳格化傾向

寛大化傾向 : すべての評価が甘くなる(5段階の4や5に集まる)傾向
厳格化傾向 : すべての評価が厳しくなる(5段階の1や2に集まる)傾向

寛大化傾向は相手に対して低い評価をつけることに負い目を感じる人が陥りやすく、厳格化傾向は完璧主義の人が陥りやすくなります。また、厳格化傾向は前述の対比誤差とも密接な関係があります。新卒採用でいえば面接官は社会人であり、応募者の学生よりも知識、経験などが優れていることが一般的です。すでに社会人として仕事を経験している面接官自身を基準にすれば、評価が低く集まることになるでしょう。この二つの面接誤差を防ぐためには、具体的な事実に基づいた評価をすること、その評価を他の面接官とすり合わせておくことが重要です。

 

4.中心化傾向

中心化傾向 : すべての評価が中心に集まる(5段階の3に集まる)傾向

面接官が自らの評価に自信がない場合や、評価方法を理解していない(実践できない)場合に起こる面接誤差です。面接官自信が評価の根拠を示すことができないことも多くあり、採用面接においては合否を出すことができなくなることも珍しくありません。中心化傾向を防ぐためには、「事前に評価基準を理解し、具体的事実に基づいて評価をする」トレーニングが有効です。

 

5.論理誤差

ある特性から類推される特性について、事実を確認せず評価すること

たとえば「所属する部活で全国大会出場した経験があるならば、達成意欲の高い人だろう」や、「受け答えの声が小さいので、仕事に対しても消極的な姿勢なのだろう」といった、それぞれ独立した特性を類推だけで評価してしまうことです。これは面接官の過去の経験などにもとづく主観や先入観で評価してしまうことが原因であることが多くあります。正確に評価項目について理解し、面接で確認できたこと、確認できなかったことを切り分けて評価する態度が面接官に求められるでしょう。

面接官の技量が採用の成功に繋がっている

面接官の印象で会社の印象が決まる!

応募者と一番多く接点が取れる採用場面は、何度も会うという意味で「面接」でしょう。ですから、採用が成功できたかどうかの一番のポイントは、面接にあると言っても過言ではありません。逆説的に考えると、採用活動における一番の落とし穴が「面接」とも言えます。応募者にとって、「面接官の印象」が「会社の印象」そのものであるため、会社のファンを増やすも増やさないも面接官次第と認識すべきなのです。

 

志望度は「人」によって高まる

業種・規模に関わらず、応募者の入社決定理由の上位には、「面接官(お会いした社員)に魅力を感じた」という内容が大変多く挙がっています。応募者は面接という機会を通じて、その企業で働く人を見ています。応募者にとっての、入社後の「目指したい姿」「一緒に働きたい社員」が面接官です。つまり、魅力的な面接が出来るか否かで、志望度の高低が決まるのです。

欲しい人材を見極めるだけでなく、来てもらえるようにする。

今まで受けてきた面接の中で、印象の悪かった面接をヒアリングしてみると、それは、「選ぶ(選ばれる)ためだけの面接」であり、面接官が一方的に進める面接が数多く挙げられています。面接は、評価(ジャッジ)としての機能だけではなく、他の機能があることを忘れてはいけません。面接官は、自分の求められる役割を十分理解した上で、面接を成功に導くことが求められています。

特に応募者は、企業と生で接した場合、必ず会社の雰囲気を感じ取っています。よく険しい顔の面接官が、学生の言葉にうなずきもせずに書類に目を落としたまま面接していることがありますが、そのような面接では「何だか厳しそうな会社だな」「会社の雰囲気も暗いのではないか」という印象を持たれるでしょう。反対に、笑顔で明るい雰囲気の面接を行う会社であれば「会社の雰囲気も良さそうだな」という印象になります。応募者が素の自分を出せるよう、より良い環境を整えることによって、応募者との心の繋がりができます。

こういった考え方は、採用担当者だけではなく、面接に携わる関係者すべての人が意識すべき事項です。成功する企業の多くは、採用活動が始まる初期段階で関係者を集めたキックオフの会議を開くなど、頻繁に意識のすり合わせを行っています。


個人情報を取り扱う

大トラブルになりかねない個人情報の扱い方

採用場面では人事採用担当ではない一般の社員が面接官として多くの応募者の個人情報に触れる機会があります。事前に配布された応募書類を紛失したり、個人情報を含む面接の情報を個人のブログなどで公開した場合個人情報の漏えいに当たり、会社を揺るがす大きなトラブルにつながりかねません。ある企業の事例では、面接を受けに来た学生が自分の子供と同じ大学・学科であったため、家に帰って子供にその話をしたところ、子供が大学でその学生に話題をふってしまい、後ほど面接を受けた学生から個人情報が漏れている(情報を伝えていないはずの友人が自分の応募状況、面接の様子を知り得ている)とクレームが入ったそうです。悪気はなくても、応募者の情報を社外に漏らすことはすなわち個人情報の漏えいに当たります。面接官とは会社のコンプライアンスを背負った存在であるということを、まずは意識してください。

 

個人情報取り扱いに関する同意書

個人情報を取り扱う場合、一般的に「個人情報取り扱いに関する同意書」を交わす必要があります。下記の項目に気を付けて同意書を作成すると良いでしょう。

  1. 個人情報の利用目的を明記する
    例えば「採用可否の判断のため」など目的を記載します。目的以外で利用しないことも触れておきます。
     
  2. 個人情報の提供及び、委託について明記する
    取得した「個人情報」は、面接時だけに利用し、第三者への提供及び、委託をする事がないことを伝えます。 
     
  3. 応募者の個人情報の保管について明記する
    応募者の個人情報の保管場所(サーバなど)管理体制を記載します。採用応募者の個人情報を紙の形態で保管する場合などは、施錠可能な場所(ロッカー等)に保管し、採用関係者以外は閲覧しないことなどに触れておくと大変丁寧です。
     

また、採用された応募者の関係書類、採用されなかった応募者の郵送による履歴書・経歴書等の保管、処分方法は、必ず記載するようにしましょう。特に、採用されなかった応募者の個人情報の閲覧制限についてはナーバスな事項です。個人情報は、正当な理由がない限り人事担当者及び役員以外の者は閲覧しないなど、詳細まで明記します。


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